純愛リハビリ中
思い出すと懐かしい。
たしかにあの頃は今よりも随分と純粋で、彼氏と一緒に下校するだけでもうれしかった。
コンビニに寄ってアイスを買って一緒に食べたり、たいしたことをしなくても一緒にいるだけで気持ちが満たされていた。
「何の打算もなくて、ただ相手を好きなだけ。純愛だったと思わない?」
それは、まだ子供だっただけとも言える。
私は軽く笑みを浮かべ、小首をかしげた。
「まさか、あの頃に戻りたいんですか?」
「気持ちだけね」
「それはさすがに無理でしょ」
今と比べたら真っ白すぎるほど純白なあの頃の恋愛感覚に戻すことは、どう考えても難しい。
「だから、少しずつでもリハビリ」
ぼんやりとだけれど、だんだんと彼の言ってることが理解できてきた。
しかし、今の感覚を矯正したいのだとしても、どうリハビリをするのだろう。