Butterfly
――――そこから、一言二言会話をして、俺はその場を後にしようとした。

彼の上司に見つかると後に二人揃ってお説教だ。それだけは、俺も勘弁願いたいものだったため、彼とはここで話しこむわけにもいかず、そうそうに切り上げ、トイともにそれぞれの持ち場(俺は仮眠をとるのだが)に戻ろうと思った。




そう思ったところで、トイの後ろに人影を感じた。





「――――誰だ。そこにいるのは。」

俺は、できるだけ落ち着いた声色でそう言った。
もし変質者だったら、変に大声を上げるのは得策ではないことは、今までの経験や訓練から知っている。
トイも、俺の声に反応して後ろを振り返り腰に携えている剣の柄に手をかけていた。


「あっ…そ、その。」

人影は少しづつこちらに近づいてきた。
どうやら声とシルエットから人影は女性のようだ。

徐々に見えてきた装いから、女性はまだ年齢も重ねていない若い娘のようで、身なりから本日の舞踏会に招かれた人間のようだ。



それなら、問題はないか…。と思ったのと同時に、何故こんなところに客人がいるのかそれも不思議でならなかった。

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