禁断の恋~彼の弟を愛してしまった私~
「えぇ、構わないわ」
そう言うと隣りに座り同じカクテルを注文した。
「良かった…もう一度会いたいと思ってたんですよ。渡したい物があったのに連絡の方法が無くて」
私に渡したい物…?
首を傾げると彼は、スーツのポケットから何かを出した。
「これ映画の無料ペア招待券です。
絶対沙織さんとなら映画の好みとか合うから誘いたいなと思って…」
「私に!?」
思わず聞き返してしまう。
「はい。兄貴に渡して貰おうかと思ったんですけど…さすがに兄貴の彼女に渡して貰うってのも変だし迷ってたんです」
そう言いながら照れたように話す彼。
こ、この場合どうしたらいいのかしら?
彼の弟だし断るとしたら失礼?
いや…でも一緒に行きたい。
こんな偶然もう無いのかも知れない。
何より彼に会いたいと思ったのは、私も同じ。
「ありがとう…観たい映画あったの」
そう言いつい受け取ってしまう。