想いを伝えるその日まで



 私の携帯電話にメールが届いたのは、今日の朝早くだ。

 部屋中に鳴り響いたのは、昔ながらの黒電話の音。

 まだ眠っていた私は飛び起きて携帯電話を開き、ボタンを押した。

 そしてまず、目覚まし時計に目を向けた。

 時計の針が示していたのは、午前七時。

 こんな朝早くに……、と少し不機嫌になりながら、私は携帯電話に目を落とす。

 届いたものがメールだということも、そのメールの送り主が誰なのかも、私には分かっていた。

 黒田さんだ。

 黒電話の音は、黒田さんだけの指定音だから。

 名前にもピッタリだと思ったし、特別な気がしたのだけれど、こんなに驚いてしまうのなら変えようとその時、決めた。

「……黒田め……」

 口が悪いのは、仕方がなかったんです。
 寝起きの悪い私に、朝早くメールを送ってきた黒田さんが悪いんです。

 そう言い聞かせ、目を擦りながらメールを確認すると、送り主はやっぱり黒田さんだった。


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