想いを伝えるその日まで
なんなんだよ、この男は。
初めて会ってから、俺はそんな思いしか抱いていない。
俺たちは、ソファになぜか隣同士に座らされていた。
この男が奈由の隣に座るよりはいいのかもしれない。
男は、日下部亮(くさかべりょう)と名乗った。
十七歳の高校生だ、とも。
そしてなんと、奈由と健治はこの男のことを知っていた。
「はあ? 昔隣に住んでた男? こいつ」
「だから十一年ぶり、って言ったじゃん。それよりこいつ、って失礼じゃないの? こいつ」
お互いに指をさす俺たちを見て、向かい側のソファに座っている奈由と健治は、苦笑を浮かべている。
健治と奈由の話によると、日下部は隣に住んでいたが十一年前、六歳の頃にアメリカに家族で引っ越した男だという。
奈由とは二歳違いだからか、よく一緒に遊んでいたそうだ。