忘れさせて 先生・・・・
目を覚ました真人は、寝起き特有の乾いた声で

「来てくれたんだ・・・・」

と言い、温かい手で私の髪を撫でた

「うん」

私は、少し元気よく返事をした

『真人に会えたのだから、辛い話など聞きたくない。
今、幸せなら、それで・・・・』

私は、彼の温かい手を握りしめた

真人は、その握りしめた手を強く自分の方へ引き寄せて、私を強く抱きしめた

『涙が出そう』

そんな気持ちを抑えて

「お腹すいたよ!! 何か作る?食べに行く?」

そう、言った私を、彼は笑って

「気晴らしに、どっかドライブ行こう」

と言い、いきよいよく起き上がった

彼がシャワーを浴びている間、部屋の中の片付けをし時間を潰した

黒のタートルネックのニットに着替えた彼は、いつもながら私の目を離させない

二人で部屋を出て、車に乗り込む

助手席の私は、いつもと変らない自分を保ち続ける事に集中した

「どこ行く?」

彼の問いかけに、私は

「いつもの、海に連れていって」

と子供っぽく言った

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