忘れさせて 先生・・・・
もう 暗闇でも 目が 慣れているせいか 先生の 表情が ハッキリとわかる

穏やかな顔

今なら 私の心の中の物を 少し 先生に 話せるかもしれない

「先生?」

「どうした?」

タバコの火を 灰皿で 消した 先生の手を ずっと 見ながら 

「今 私 何もかも わからないの」

そう 話し 始めると 先生の 右手が 私の左手を 優しく握った

話の続きを 催促されるのでなく ただ 黙って 聞いてくれている 先生

この 暗闇が 私を 素直に させてくれるのかな

「昨日 真人に 会ったの
初めて 彼が マリッジリングしてるの見て やっぱり 彼は 私を違う人を 選んだって 思い知らされた 苦しかった・・・・ でも 彼から 『逢いたい』って言われたら やっぱり 断れなくて・・・・・ もう どうしたら いいか わからない」





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