忘れさせて 先生・・・・
望み
外の景色が どんどん 深い緑になっている

「相変わらず 外見てるな」

「そう?・・・・先生は イヤ? 私が 外ばっかり見て あんまり 話さないのは」

「ばか そこまで ガキじゃねーよ」

そんな 軽い会話を 時どきしながら カーステレオから 流れる 音楽と 車のエンジン音だけを 聞きながら ドライブを楽しむ

窓の外に キラキラ輝く 水面が 見えた

「先生 海?」

「いや 違う 湖だよ」

「でも 波が」

「風が 吹けば 波立つ。 どんなに 自分が もう迷わないって決めても 自分のまわりに 風が吹けば 心は 波立つ 自然な事だよ」

先生が 言った言葉は 昨日の夜 私が取らない電話のことだろう

自分が いくら 別れたと決めても 真人からの電話があれば 心が 揺れる

その事は 自然な事だと・・・・

遠くを見つめながら 車を運転する 横顔を 私は 一生忘れられないだろう






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