忘れさせて 先生・・・・
お昼休みになった

お弁当を広げながら、香奈と毎日同じような話をしている


「結衣は、真人さんとどうなの?」

いつものお決まりのセリフ

「どうって、よくわからない・・・」

昨日の夜の、あの告白の事を他人に話せるほど、私の中で整理がついていなかった

「それって、倦怠期?」

ニヤリと笑う香奈の顔がかわいくて、私まで笑っていた

午前中までの秋の澄んだ空が、今は泣き出しそうな冬の空へと変わっていた

「田中結衣さん、至急 第二職員室まで」

校内放送が流れた・・・

「あっ、恵美ちゃんだ」

「行ってくるね」

香奈に手をふり、急いでお弁当箱を片付けた

教室を出ようとした時、制服のブレザーのポケットに入れてある携帯のバイブの振動に気が付いた

恵美ちゃんの、用事を先に済ませてから・・・

「失礼します」

私は、第二職員室の扉をそっと開けた

先生達も、昼食を食べ終わり、ゆっくりお茶を飲んでいる

「結衣ちゃん、こっち」

日本史担当の恵美ちゃんが、手招きする

いつもの机とは違い、奥のソファーに座っている

「失礼します」

もう一度小声で、奥に入っていく
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