忘れさせて 先生・・・・
私は 美味しい お料理と 久しぶりの母との穏やか時間が嬉しかった

私は、マナーモードの携帯の着信に気が付いた

「出ていいのよ」

母の言葉が痛かった

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着信 山田 真人
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ディスプレーの字を見つめると

すぐに、呼出音が消えた

私から、かけ直す事は、出来なかった

母は、少し気分が良くなったのか 亡くなった父の話をしてくれた

「今日の時計、亡くなったあの人と私とのペアーウォッチと同じ形なの」

この 高価な時計は 老舗ブランドの定番の形

「お母さん、結婚指輪ができなかったから、あの人が毎日出来るものをって考えてプレゼントしてくれたの。」

苦しかった・・・

母と同じ道を歩き始めようとしている 私・・・・・

涙が、出そうになった 

母に素直に、真人との事を話して おもいきり反対されれば 終わりにできるかもしれない

「自分を信じて、進みなさい。 どんな結果であれ自分が信じた道を真っ直ぐに歩けば後悔だけはしないはずよ。 信じてるから・・・・・」

母の目は、少し涙で濡れていた

気付いているのかもしれない・・・・・

私の、本当の気持に・・・・・
 



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