あたしは、悪魔と契約しました。
「気付いたら、そんなお前のことを見るのが俺の日課になってた」


そう言い、可笑しそうな笑みを浮かべる。


「何、それ。もしかして、あたしのことを好きだったの?」


あたしは冗談交じりに、そんな言葉を哲也に投げかける。


それに、笑ってくれると思ったのに、、、


なのに、哲也の顔からは笑みは消えた。


真剣な顔で、まなざしであたしのことを見つめてくる。


そんな哲也に、息をすることさえ忘れそうになる。


「なぁ。おとぎ話知ってる?」


顔色1つ変えずに、哲也はそんなことをあたしに尋ねる。


「おとぎ、、、話?」

「あぁ。どこぞの姫が、王子にキスされたら目を覚ますって話」


哲也がそんな話をしている時点で、おかしな話なのに、、、


なぜか、その時は笑えなかった。

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