あたしは、悪魔と契約しました。
忘れたことなんてなかったし、会いたかったけど、、、


「もう、一生会わないつもりだった」


そう、自分の中で決めていた。


「なのに、、、会っちゃった。力の、、、父親に」

「そう」


奥さんは、相槌を打つ。


「あたし達は、会っちゃいけないの。一緒に居ちゃ、イケないの」

「どうして?」


今まで、誰かに話したこともなかった。


だから、そんな風に聞かれたこともなかった。


「あたしの本当の母親が、、、彼のこと、傷付けたから、、、」

「それで、どうして会っちゃダメなの?」


どうしてって、、、


それに、中々答えられない。


「千尋?」


そう言い、奥さんはあたしのことをクルッと回転させ、向き合わせる。

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