先生と恋をしました。
今まで私をこんなにも大事にしてくれた人はいなかった。
こんなに私のことを思ってくれた人はいなかった。
だからなのか、知らないうちに本当の自分を隠して、人が思う理想の人間を演じていたのかもしれない…
家やお父様のために自分を殺して、お父さんとお母様の理想の娘になろうとしていたんだ…
自分の心に大きな壁を作って、頑丈な鍵をかけて誰にも見られないようにしていたんだ…
そんな自分を見つけてくれたのが藍沢先生…
鍵を開けようとしてくれている…
これを今許してもいいのだろうか?
本当の自分を出してもいいのだろうか…
「…先生…私…どうすればいいの?」
「…お前が苦しんでる時これからは俺がずっとそばにいる。
こんな姿他の奴に見せてたまるか。
こんな可愛い姿誰にも見せたくない。
だからこうやって泣きたくなった時は、俺を呼べ!
一人で悩むな!
お前は一人じゃない!
俺がお前を一人にしないから!」
「…先生…」
「お前が本当のお前でいられる場所を俺が作るから…
一人で閉じ込めようとするな…
いいな!」
「…はい…」
先生しばらく私を抱きしめてくれていた。
この人の前なら本当の自分で居られるって心からそう思った。
安心できる場所ができた。
そう実感できた。
「…先生…?」
「…なんだ?」
「…私をここまで大事にしてくれたのは先生が初めてだから…
この気持ちが先生が好きっていうことなのかはまだ自分ではわからない…
恋をすることを諦めていた私だから恋がわかるまで時間がかかると思う…
でも、私にとって先生が特別な人になったのは確かだから…
ここまで私のことを思ってくれた人は今までいなかったから、嬉しかった。
先生みたいな人が世の中にたくさんいればいいのにね!」
「…高瀬…」
「先生、今日はいろいろありがとうございます?
なんかスッキリしました。
スーツ汚してごめんなさい。
私、先生に恋するようにこれから頑張る!
だから先生も私が好きなら、私の理想の男の人になってください!
先生のことずっと見てますからね。
本当に今日はありがとうございました。
失礼します。」
「わかった。お前の理想の男になってやるよ。」
準備室の扉をかけた時、今までと何も変わらない場所なのにすごく世界がひろく感じた。
足が軽くって、風の抵抗すら感じさせない。
自分の体なのに今までの自分とは少し違う。
これも先生のおかげかもしれない…
先生の存在は私にとってかけがえのないものになった。