先生と恋をしました。
「それではこれより赴任された先生を紹介します。」
ステージの上段に何人かの先生が登壇する。
順に挨拶をしていく先生たち…
そんな中に彼はいた…
「初めまして。新任の藍沢直斗です。
担当教科は英語。
斎藤先生が産休に入られたので臨時教員という形ですが、どうぞよろしくお願いします。」
藍沢直斗…
初めて彼の名前を聞いた時…
あの声に一瞬にして引き込まれたのを今でも忘れることはない。
「ねえーねえー遥佳!!藍沢先生ちょーかっこよくない!!」
うーん…
確かに顔はかっこいいだろう。
だがあの笑顔の下には何かがある…
「そうかもね。私はまず持って興味はない。」
「えー!遥佳絶対恋したことないしょー!」
「ないわよ。しても意味はない。私には関係のないことだから」
ずっと家に縛られ続けるのだ。
好きな人などいてもすぐに引き剥がされる。
将来だって高瀬のためにって政略結婚されるのだろう。
恋なんて夢のまた夢よ…
「担任誰かな?藍沢先生がいいな!」
「そんなの誰であろうと関係ない。私に口出ししない先生なら誰でもいい。」
藍沢先生になったらきっとめんどくさい…
新米の先生が担任持ったら熱い決まってる。
だから麗には悪いけど藍沢先生はイヤ…
ガラガラっ!
「ほらーお前は座れー!」
入ってきたのは…
藍沢直斗…
「うそーっ!キャーーー!!」
女子はみんなで驚きと嬉しさで騒ぎ始めた。
どんだけ嬉しいのさ!たかが担任になっただけで…
「はい、静かに!
2年C組の担任になった藍沢直斗だ!
担当は英語。2年間よろしくな!」
みんなは先生の自己紹介をまえのめりになりながら真剣に聞いている。
私は窓の外をずっと見ていた。
今日は雲ひとつない満点の青空…
こっちの方があんたより断然綺麗だ…
クラスのざわめきがおさまらないままトントンと話を進めていく藍沢先生。
「じゃー次に学級委員長やってくれるやついないか?」
一気に静まり返る教室。
まあそうだよね。
学級委員長とかめんどくさに決まってる。
「ほんとに誰もいないのか?
なら俺が指名するぞー!?」
またざわざわしだす教室…
どうせ自分は当たらない。
影を薄くしているつもりでいるから。
こうしてれば関わろうと思う奴なんていないから。
「……それじゃ…」