あなたの隣ってあいてますか?



私の職場は、運送会社。

今年で、3年目になる。

事務職で、職場には女性が5人だけで、私が一番下っ端。

二つ上の清瀬蛍(きよせほたる)さんは、ちょっと変わった人…

常に、髪の毛はおさげ。

眼鏡をかけていて、ガリ勉タイプ。少し、話しにくい。

きっと、眼鏡を取って、髪の毛を下ろしたら綺麗なはず!

そんな清瀬さんは、ドライバーの進藤 尚(しんどうひさし)さんのことが好き。これも女の勘…

進藤さんは、31歳の独身で、肌は運転中に日焼けしたのか、黒い。

そして、腕の筋肉がもう!すごい!

制服のポロシャツがパンパンになっている。

髪の毛は短髪で、清潔感がある。

そして、礼儀正しい!

昔、自衛隊にいたとかいう噂がある。

ドライバーさんは、朝、出勤すると事務所に立ち寄り、タイムカードを押し、ルートを確認する。

私たち事務課とは、カウンター越しで会話が出来る。

「おはようございます!」

進藤さんが、元気良く出勤してきた。

私は、そーっと清瀬さんを観察する。

「お、おはようございます…」

「蛍ちゃん、今日もおさげ決まってるな!」

「あ、ありがとうございます…」

そう!清瀬さんは、進藤さんにおさげを褒められるから、毎日おさげにしている。はず…

「ほな、いってきます」

「お、お気をつけていってらっしゃい」

進藤さんを見送った清瀬さんは、なんだかニヤけた顔をしていて、私と目があった…

すると清瀬さんは、真っ赤な顔になり、私から目を逸らした。

清瀬さん、なんか可愛い。

「ちなっちゃ〜ん!おはよう!」

「おはようございます。羽田さん声が大きいです」

「あ〜ごめん。なぁ〜今日夜空いてる?」

「出勤してきていきなりそれですか?」

「羽田さん、困りますよ!うちの事務課はそういうお店じゃないんですから」

突然、後ろから清瀬さんがフォローしてくれた。

「すんません。気をつけます。
いってきます」

「お気をつけていってらっしゃい」

羽田雅成(はねだまさなり)さん、33歳。

いつも、あんな風に誘われる…

いつも、あんな風に断る…

そして、いつも、あんな風に清瀬さんがフォローしてくれる。

だから、きっと、羽田さんはノリで言ってるんだと思う。



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