あなたの隣ってあいてますか?
佐山くんも同じクラス、席替えで席が隣になった。
「なぁ〜伊原、消しゴム貸して」
「いいよ、はい」
「赤ペン貸して」
「はい」
と、佐山くんはなんでも私に借りるようになった。
ある日「なぁ〜伊原、さっきの授業寝てもうてん。ノート借りてもいい?」
「うん。はい」
「じゃあ、家で書くから明日持ってくるわ」
「うん。次の授業まででいいよ」
「ありがとう。じゃあな〜」
「バイバイ」
最近増えてきた「ノート貸して」何でも貸してって、どうしたんやろ?
「なぁ〜ちなつ〜」
「び、びっくりした!咲良、後ろおったん?」
「もしかして、もしかすると…」
「何?なんかあるん?」
「佐山って…」
「うん」
「ちなつのこと…好きなんちゃう?」
「え、え?違うよ!きっと!」
咄嗟に、否定しまくった。
「怪しい!もう、付き合ってるんと違う?」
「付き合ってないよ」
そんなこと考えたことなかった。
物を貸してってよく言われるけど、真面に話しをした記憶がない。