あなたの隣ってあいてますか?


そして、土曜日。

バレーボール初日。

「こんばんは」

「おっ、ちなっちゃん早いやん」

「キャプテンも早いですね」

「俺は、鍵開け当番ですから」

「ご苦労様です」

あ〜なんかこの体育館の感じ、懐かしいなぁ〜。

床のピカピカさ、この照明の明るさ、舞台のちょっとした薄暗さ、その横にある校歌。

母校ではないけど、思い出すな…

ここは小学校やけど、中学の時の部活の時間。

週に一回しかなかった、体育館の練習。

普段は、外で練習してたから、体育館のやり易さが嬉しかったな…

「おお、バレーボールシューズ買うたん?」

「はい。ネットで…」

「ええやん!かっこいいやん」

「でしょ!さすが、キャプテン。わかります?」

「もちろん」

「私、この体育館の床を“キュッ、キュッ”ってする音好きなんです」

「わかるわ!それ!なんか気合い入るな」

「そうなんです!気合い入ります」

キャプテンと分かり合えたことが、なんか嬉しかった。

「ボールは?」

「小学校のやつ借りれるみたいやで」

「そうなんですか?じゃあ、春人さんのコネかなんかですか?」

「そうそう。春人ももう来るんちゃうかな?」

「こんばんは」

春人さんがボールを入れたケースを抱えて、やって来た。

「こんばんは。噂をすれば…」

「噂?悪口ですか?」

「違うよ!ボールです」

「ああ、これね。6個しか確保できませんでした」

「ありがとう!十分!そのうち、皆の部費集めて何個か買うわ」

「いいですね!レインボーボール!」



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