あなたの隣ってあいてますか?



その後、咲良と音楽室に向かった。

一階の靴箱の近くで、佐山くんが見えた。

その前には、同じ学年で可愛いと男子に人気がある、真下茜(ましたあかね)ちゃんがいた。

「あ、佐山!また、告られてる!」

「ちょっと、咲良、聞こえるよ」

「「あっ」」

佐山くんと目が合った。

「ほら!聞こえてたって!」

佐山くんと真下さんの声は聞こえなかったけど、佐山くんの口元はきっと「ごめん」って言っていた。

そう言った後、佐山くんはグラウンドに走って行った。

翌日、佐山くんはノートを返してくれた。

「ありがとう。めっちゃわかりやすかった」

「そう?よかった」

「また、貸してな」

「授業中にちゃんとノートに書いてください」

「先生のより伊原のノートのほうがええよ。わかりやすいし」

「褒めてもらってうれしいけど、じゃあ、今度のテストで100点取ってな」

「はぁ?無理です」

そんな冗談を言っているのが楽しかった。


< 3 / 70 >

この作品をシェア

pagetop