あなたの隣ってあいてますか?
その後、咲良と音楽室に向かった。
一階の靴箱の近くで、佐山くんが見えた。
その前には、同じ学年で可愛いと男子に人気がある、真下茜(ましたあかね)ちゃんがいた。
「あ、佐山!また、告られてる!」
「ちょっと、咲良、聞こえるよ」
「「あっ」」
佐山くんと目が合った。
「ほら!聞こえてたって!」
佐山くんと真下さんの声は聞こえなかったけど、佐山くんの口元はきっと「ごめん」って言っていた。
そう言った後、佐山くんはグラウンドに走って行った。
翌日、佐山くんはノートを返してくれた。
「ありがとう。めっちゃわかりやすかった」
「そう?よかった」
「また、貸してな」
「授業中にちゃんとノートに書いてください」
「先生のより伊原のノートのほうがええよ。わかりやすいし」
「褒めてもらってうれしいけど、じゃあ、今度のテストで100点取ってな」
「はぁ?無理です」
そんな冗談を言っているのが楽しかった。