あなたの隣ってあいてますか?



「ちなっちゃん、“いそやん”と練習して」

突然、キャプテンが言った。

「はい…」

「磯田です。よろしく」

「い、伊原ちなつです」

「で、ちなっちゃん?」

「そうです」

私、あんまり人見知りするタイプではないんやけど、緊張してる?

磯田さんは、私より頭一つ分背が高くて、どちらかと言うと細い。

顔は…

う〜ん…

芸能人に例える人がいなくて…

普通…

嫌いなタイプではない…

「ちなっちゃんは、ずっとセッターなん?」

「いいえ、違います。キャプテンにいきなり指名されたんです。だから、独学で…」

「そっか…俺もだいぶやってない期間長いからな…」

磯田さんは、苦笑いで頭をかいた。

「高校の時以来やから、もう20年近くボール触ってないわ」

「そんなにですか?」

「だから、俺、忘れてること多いし、当てにならんかも…」

「昔、やってた練習法とかどんなんですか?」

磯田さんと私は、少しづつ練習を始めた。

磯田さんは、凄く丁寧で私が解るまで、熱心に教えてくれた。

初めの印象は、普通の年相応のサラリーマンって感じで、いいお父さんなのかな?って思った。

けど、約1時間半ぐらい2人で練習したけど、優しい人だなっていうのが印象的。

それと、笑顔。

なんか、安心感のある笑顔をする人。

最後のミニゲームでは、チームが別々になって、それからは話はしなかった。


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