あなたの隣ってあいてますか?



練習が終わり、キャプテンが切り出した。

「いそやんの歓迎会すんで!」

皆、早々に帰る支度をして“ちゅうさん”に向かう。

「キャプテン…私、明日同僚の結婚式なんで、今日は早めに帰ります」

「おお、好きな時に帰りや」

“ちゅうさん”についてから、いつのも座敷で皆が集合するのを待つ。

キャプテンと磯田さん、そして樹くん、祥太、真希ちゃん。

「ちなっちゃん、見てコレ!」

祥太は、最近買ってもらったゲームを自慢げに私に見せてくる。

「あっ、前から欲しかったやつ?」

「そう!」

「よかったやん!」

「俺が飽きたら貸してあげるわ」

「飽きたらね…」

「樹、ちなっちゃんな〜ゲームめっちゃ下手やねん」

「そうなん?」

「それやのに、俺らに「対戦しよ」って言ってくんねん」

祥太は、呆れた言い方で樹くんに説明している。

「ちなっちゃん、これみて!」

次は、真希ちゃん。

「これな、このまえパパがかってきてくれてん」

真希ちゃんは、可愛い鞄から塗り絵を取り出し、笑顔で見せてくれた。

今、人気のアニメのキャラクターの塗り絵だった。

「真希ちゃん、上手に塗ってるね。すごい」

「えへへ」

と、満面の笑顔になった。

「ちなっちゃんは、ホンマに子供が好きやな」

座敷席の壁側を一列に占領して、一番端にいたキャプテンが言った


「はい」

キャプテンの横にいた優しい笑顔の磯田さんと目が合った。


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