あなたの隣ってあいてますか?



また、徐々に人が集まってくる。

円は、キャプテンの前で楽しそう。

真希ちゃんは、みえ姉の所に行き、横の席が空いた。

すると、樹くんが私の横に座った。

「ちなつ、これで対戦しよ!」

樹くんが、“ちなつ”と呼び捨てにしたことで、隣の隣にいた磯田さんが…

「こら!樹、ちなつさんやろ?呼び捨てにしない」

樹くんとは、今初めて喋るのに、懐いてくれてる。

「樹くん、私、ホンマに弱いよ」

「だから、やるねん!」

「もう!」

そう言いながら、樹くんが持っていたゲーム機を渡された。

「これ、とーちゃんの」

「そうなん?勝手に使っていいの?」

「ちなっちゃん、ええよ」

「じゃあ、始めんで!」

少しすると、一番端に座っていた私の横の少しのスペースに磯田さんが座り、ゲームを覗いてきた。

「ちなっちゃん、ホンマに弱いな」

「始めに言うたのに…」

「いや、ちゃう、そこ!ほら!そう!」

横から、磯田さんがチャチャを入れ始めた。

「いそやん、楽しそうやな」

キャプテンが、笑いながら言った。

「せや!ちなっちゃん、帰らんでええんか?」

「え?あ!」

私は、急いで時計を見る。

22時少し前ぐらいに帰ろうと思ってたら、22時を過ぎていた…

いつも帰りは家が近い、もりまりとあっちゃんと一緒に帰る。

夜遅いしどうしようかな?と思っていたら…

「夜遅いし、送るよ」

「僕も行く」

と、磯田さんと樹くんが言ってくれた。

周りの皆も、「そうし、そうし、夜遅いし、最近物騒やからな!樹、お父さんが何もせんように見張っといてや」
と、言ってくれたため、送ってもらうことにした。


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