あなたの隣ってあいてますか?



「ちなつ」

後ろから手首を掴まれた。

あっ…バレた…

私は、ゆっくり振り返った。

「久しぶりやな〜」

「う、うん」

「まさか、ひさ兄の結婚式で会うとはな…」

「う、うん…手…」

「ああ…ごめん」

間近で見る佑は、前よりも大人な男性になっていた。

「ちなつ、綺麗になったな」

「結婚式やから、ちょっと気合い入ってるだけ」

「ちょっと痩せたんちゃう?」

「そ、そんなことないよ」

あ、羽田さん発見!

「ごめん、同僚と一緒やから…」

「なぁ〜携帯の番号、変わってない?」

ええ?何?

「う…うん」

「電話するわ」

え?何で?

私は、羽田さんの所へ走って行った。

「ちなっちゃん、どうしたん?」

「羽田さん、どこ行ってたんですか?」

「ああ、ごめん。トイレ」

「もう…」

「一緒にいた人が、元彼?」

「…はい」

「なかなか、男前!」

「…」

私は、佑と別れてから携帯の番号やアドレスは、すべて削除した。

だから、一切未練なんてなかった…



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