あなたの隣ってあいてますか?
早めに咲良の家を出た。
帰る時には、寒気がするぐらいになっていた。
家に着くと、身体が火照っているのがわかった。
「ただいま」
「お帰り。ん?ちなつ、顔赤いで。熱でもあるん?」
「うん。熱っぽい…」
「体温計っとき」
私は、母に言われるままリビングで熱を計った。
「貸して。あら、38.0℃…」
「…」
「まだ、19時30分やし間に合うわ。磯田さん行こう」
ダメ!
磯田さん…磯田クリニックは…
「え?磯田クリニックはあかん…」
「近いからあそこにしとき。小さい時はいつも磯田さんやったんやから!お父さんもお母さんも、磯田さんにお世話になってるんよ」
「知ってるけど…ゴホン…ゴホン」
「お母さん、連れてったるから!はい、行くよ」
これ以上、否定する元気もなく、母に言われるがまま、私は磯田クリニックに連れて行かれた。
母は、車を駐車してから、「終わったら連絡して。迎えに行くから」と、帰って行った。
磯田クリニックに入ると、 閉まる時間が近いせいか、人は少なかった。
受付をすると、「こちらの問診票に記入していただけますか?」と体温計と共に渡された。
この受付の人綺麗な人…
磯田さんに診てもらうことに少し緊張している自分がいる。