あなたの隣ってあいてますか?



「仕事は?」

「一週間前に日本に帰ってきたんですけど、向こうで知り合った人がいて、その伝手で通訳の会社の面接に行って、今日、採用の返事もらいました」

「そうか、よかったな。乾杯しよう」

また、乾杯…

「久しぶりに鍋食べましたけど、ホンマに美味しかったです」

「よかった。喜んでもらって」

しばらく、佑はうちの両親に質問攻撃に合い、世間話を3人でしていた。

私は、黙々と鍋を食べた。

「じゃあ、僕そろそろ帰ります」

そうだ、帰って〜!

「ちなつ、送ってあげなさい。夜も遅いし」

なにぃ〜!この後に及んで、「送れ」とは…

「ちなつ、よろしく」

佑は、満面の笑みで言ってきた。

私は、無言で車に乗り、出発した。

「ちなつ、なんか怒ってる?」

「怒ってない」

「ごめん」

「怒ってないって」

「いや、勝手に来て」

そっちか…

「さっき、告られてたな」

聞かれてたのか…

「返事してないんやろ?」

「してないけど、佑には関係ないやん」

「そうやな…」

佑は、きっと悲しい顔をしている。

声でわかってしまう…

情に流されやすい私は、今佑の顔をみたら、感情移入してしまいそう…

運転中でよかった。



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