あなたの隣ってあいてますか?



佑の家に着いた。

「なぁ、ちなつ」

佑の方に振り向いた瞬間、佑の顔が私の真ん前にあった。

キス…

された…

少し懐かしさを感じてしまった。

でも、以前と違って“イヤ”という感情が湧き上がってきた。

「ちょっと…やめ…」

「結婚してくれへん?」

「え?」

「俺、2年間後悔ばっかりやってん」

「…」

「ちなつに会いたくて、会いたくて仕方がなかった。けど、ここで帰るわけにはいかへん。って思ってやり遂げた」

「佑、はっきりさせなかった私が悪かったのかもしれへん。ごめん。私は…
佑とやり直すことも、結婚することもできません」

「さっきの奴か?」

「違うけど、好きな人がいる」

「好きな人か…
まだ、付き合ってないんやろ?」

「そうやけど、私、今はその人しか見えてない」

「俺が、ちなつを勝手に思い続けるのはいいよな?」

「…」

「だから、友達のままでいいから飲みに行ったり、どっか行ったりしようや」

友達…

男女の友情はあるのか?

羽田さんとは、男女の友情?

あるか…友達ならいいかな?

「…うん」

「よかった。完全に会わへんって言われたら、凹んでたわ…」

よかったんかな?

「送ってくれてありがとう」

佑は、私の頭を撫でた。

付き合ってる時もよくそうしてた。

「じゃあな。気ぃつけて帰ってや」

「うん」


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