恋も試合も全力で！

怒ってる裄に対して、顔が綻ぶあたし。


「…何笑ってんだよ」

「えー？」


怪訝そうに顔を歪める裄。

だけどあたしは未だ笑ったまま。


「はぁー。もういいわ」


呆れたように、裄はため息を吐いた。

そして、あたしの右手を取る。


「帰ろ」


指と指を絡めあって、並んで歩く。

怒っていた裄も、今はもう笑ってる。


「浅海さん？」

「…え？」


いきなり“さん”付けで呼ぶ裄に、今度はあたしが怪訝な顔。


「ちょっと、気持ち悪い」

「なんだよ、気持ち悪いって」

「だって変だよー。浅海さん、なんて」