恋も試合も全力で!
3.旅行
「浅海ー! 裄くん来たわよー!」
「はーい!!」
準備は完璧だったはずなのに、こんな日に限って寝坊。
髪もメイクも適当で、あたしはカバンを持って階段を駆け下りた。
リビングに入ると、ソファに座ってる裄。
「裄、ごめんっ!!」
「早くしろよー。置いてくぞー?」
「え、やだぁ!!」
洗面所に走って、歯を磨く。
いつもは念入りに磨くけれど、今日はぱぱーっと終わらせて。
「ゆ、裄っ。できたっ。行こっ」
カバンを持って、裄を呼ぶ。
笑いながら立ち上がった裄は、あたしの髪をかきわけた。