恋も試合も全力で!


あたしが泣いてしまったことで、練習に参加するのが遅くなってしまった。


加藤さんは、ずっとあたしを慰めてくれてた。

悪いのはあたしなのに、何度も『ごめんね』って呟きながら。


こんなにいい人、疑うなんてバカすぎる。


練習場に向かうと、裄は志田コーチと打っていた。

その表情は、本当に嬉しそうだった。


「お、やっときたか」


あたしたちに気付いたコーチが、笑いながら声をあげた。

あんなに遅くなったのに、一言も怒ったりしなかった。


「遅くなってすみません」


加藤さんは、コーチに頭を下げた。

あたしも一緒に頭を下げる。


「いいから、いいから。
早くゲームの準備しろ」


それでもコーチは、優しく声をかけてくれた。




< 398 / 463 >

この作品をシェア

pagetop