恋も試合も全力で!
あたしが泣いてしまったことで、練習に参加するのが遅くなってしまった。
加藤さんは、ずっとあたしを慰めてくれてた。
悪いのはあたしなのに、何度も『ごめんね』って呟きながら。
こんなにいい人、疑うなんてバカすぎる。
練習場に向かうと、裄は志田コーチと打っていた。
その表情は、本当に嬉しそうだった。
「お、やっときたか」
あたしたちに気付いたコーチが、笑いながら声をあげた。
あんなに遅くなったのに、一言も怒ったりしなかった。
「遅くなってすみません」
加藤さんは、コーチに頭を下げた。
あたしも一緒に頭を下げる。
「いいから、いいから。
早くゲームの準備しろ」
それでもコーチは、優しく声をかけてくれた。