恋も試合も全力で!


ホテルに戻ると、裄はベッドに倒れこんだ。


「うあー、疲れたー」


あたしも、裄の隣に腰を下ろす。


「楽しかったね」


そう言って微笑むと、裄に思い切り腕を引っ張られた。


そのまま、裄の隣に倒れ込む形になって。

あたしの目の前には、裄の顔。


見つめ合ったままの数秒が、何時間にも思えた。


裄はフッと笑って、体を起こした。


「運動したら腹減ったなー。飯食いに行くか」


そう言って、んーっと伸びをする裄。

けれどあたしは、ドキドキして体を起こすことができない。



キス…されるかと思った。

キスくらいで、こんなにドキドキして。

あたし、成長してないな…


ドアの方から『浅海ー?』と呼ぶ裄の声がして、

あたしはようやく体を起こした。




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