恋も試合も全力で!
あたしは、和田先生に背を向けて歩き出そうとした。
その時。
「あ、梨元」
再び和田先生に呼ばれ、振り返ると。
「笠原から、何か聞いたか?」
「え?」
裄から?
「何かって…何ですか?」
「いや、就職に対して。何も聞いてないのか?」
「あっ…はい……」
裄は、聞いても何も教えてくれない。
「じゃあまだ、迷ってるってことか…」
ふと呟いた和田先生。
迷ってる?
裄が?
何を…迷ってるの?
「先生…迷ってるって、何ですか?」
「え?」
「裄が、迷ってるって…」
「ああ…」
少し考え込んで、和田先生は口を開いた。