恋も試合も全力で!
「本人から、聞いた方がいいと思う」
「え……」
和田先生の言葉は、あたしが待っていた言葉ではなかった。
あたしは、すがりつくように言った。
「先生…裄、何も教えてくれないんです。大事なことなのに、何一つ言ってくれない。槇も」
「それは、まだ言うべきじゃないって思ったんだろう。山本もそうだと思う。
言える時になったら、言ってくれるはずだよ」
和田先生は、あたしをなだめるように言った。
本当に、言ってくれるのかな?
悩んでるってことは、それだけ大事なことだよね?
あたしに相談してくれてもいいのに…
「笠原を待ってあげたらどうだ? それまで、梨元の就職のことも待ってやる。
彼氏の就職先が分からないと、どうにもできないもんな」
そう言って、和田先生はあたしの頭をポンポンとすると、歩いていった。