恋も試合も全力で!


『槇とは、連絡は取らない。会ったりもしないよ。
別れるわけじゃないけど、距離を置くって感じかな?』


そう言った綾子に、あたしは涙が止まらなかった。


なんで?

別れるわけじゃないけど距離を置くって…

分かんないよ。

どうして?


『あたしも槇も、まだ将来を決められるほど、自分に自信がない。
槇はあたしを守る自信、あたしは槇を支える自信がね。
このまま一緒に東京行っても、あたしたちは続かない』


淡々と話す綾子は、もう迷ってはいないみたいだった。


『だから、距離を置くの。
お互い自信がついたら、一緒なろうって。あたしが東京に行くのは、その時だよ』


そう言って、綾子は笑った。


そして。


『あたしはこの町で、槇が迎えにくるのを待つ。何年でもね。
それが、槇と話し合った結果だよ』




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