恋も試合も全力で!
ゆっくりと綾子を抱き寄せた槇は、震えた声で言った。
「泣くなって……俺まで泣きそうになるだろ」
そう言った槇の目から、涙が一筋流れた。
「ま、き………行か、な、いで……」
くぐもった綾子の声。
あんなに強く見せてたけど、本当はすごくつらかったんだ。
本当は、槇と離れたくないんだよね。
「綾子っ……」
そんな綾子の言葉を聞いて、槇の抱きしめる力は一層強くなった気がした。
「絶対、迎えにくるから。
何年後になるか分かんねーけど、綾子を守れる自信がついたら、絶対に迎えにくる。
それまで、待ってろ」
「う、ん…待って…る……」
槇と綾子は、ずっと抱き合って泣いていた。
槇の涙を見るのは、初めてだった。