恋も試合も全力で!


「じゃあ、行くから」


泣いて、赤くなった目で、槇は言った。

綾子は未だに泣いていて。


そんな綾子に、槇は。


「綾子。これ、持ってて」

「え……?」


綾子の手のひらには、槇が大学4年間、ずっとつけていたピアス。

綾子と一緒に選んだもの。


「俺が迎えにきた時、返してくれたらいいから。
それまで、綾子が持ってて」


そう言って槇は、優しく笑ったんだ。

綾子も、笑顔で頷いた。


「指輪も、ずっとはめとく。槇を忘れないように」

「うん。そうして」


槇は、綾子のおでこにキスを落とすと、笑顔で機内へと消えていった。

綾子も、ずっと笑っていた。




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