恋も試合も全力で!


「浅海っ! おはよー!」


学校が近くなり、突然かけられた声。

振り返ると、綾子と槇くんがいた。


「おはよ」


作り笑顔で返すあたし。

裄がいないと笑顔にもなれないなんて。


「あれー? 裄は?」


キョロキョロと見渡しながら聞く綾子。

あたしはハハッと空笑いをした。


「綾子っ」


槇くんが綾子の肩を掴む。

多分察してくれたんだな。


「え? また?」


綾子の“また”とは、喧嘩のことだろうな。


「また…かな?」


ハハハー、なんて、笑ってごまかすあたし。




< 85 / 463 >

この作品をシェア

pagetop