家族ごっこ
『すみません。それだけは…』

「えぇー?」


ちょっと怖いよ。

笑っていけない。

そんなんだったら、なんの不安もなく私は行けない。


「困ります…」

『本当にすみません。なにしろ極秘プロジェクトでして』

「そっか。じゃあ無理で…」


ん?

今、なんて言った?


「極秘プロジェクトぉ!?」


『あぁっ!私としたことが口を滑らせてしまいましたっ!』

あわあわと焦り出す楷さんに、私はすっごい勢いで質問攻めを開始する。

「ちょっ!なに極秘プロジェクトって!!国家機密がどうとかっ…」

『ああああなたはなにも聞いてません!私もなにも言ってません!』

「ざけんなぁああっ」


ぎゃあぎゃあ騒いで収集がつかなくなる前に、『なにもないですっ』と切られてしまった。


「…むっ」

「どうしたの羽故。皆電話にぎゃあぎゃあ騒ぐあんたに引いてるよ?」

「いや、なんか納得がいかないぞ楷さんっ」

わけがわからず、イライラする。
だから一人で叫んでみた。

「私はあんたと話が通じないのに納得がいかないわあ」

野田にバッサリと言われたのに気づかないほど、考えふけったのだった。
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