家族ごっこ
こんにちわ♪家族
アパートだった。
外壁はクリーム色で、新築かと問われれば真っ先にNOと答えたくなるボロさ。
三階建てで、一棟6部屋。
なん部屋か入っていて、これがプロジェクトに使われるなんて想像つかないほど日常な感じ。
「ここです!」
ビシッと荷物を渡してきた楷さんが指差す。
一階を。
「いってらっしゃい!」
「ついてきてくれないの!?」
大振りに手をふった楷さんは意地悪だ。
「一階の右の部屋です。一人でお願いします。大丈夫!遊びに行きますから!」
「……」
重い荷物を抱えながら、私はドアの前にたつ。
痛いほど楷さんの視線を感じながら、インターフォンを押した。
ピーンポーンと平凡な音が響き、ドタバタと足音が近づいた。
壁はどうやら薄いようだ。
ガチャッ、とドアが開いていき、ドキドキと胸がなる。
不安と楽しみが混じった音。