家族ごっこ

「と、冬麻くんっ」


叫んだのは我らが詩乃さま。

え?お知り合い?


「あぁ、そっか…冬麻さんと詩乃さんは同じ小学校でしたよね」


楷さんが柏手を打つ。

「さあ、冬麻さん自己紹介を!」

そしてなんかの司会者みたいに手を広げ、男の子に呼び掛けた。




「う ざ い」




愛らしい唇から放った言葉はあまりにも冷たすぎて――その場の全員が固まった。
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