家族ごっこ
「絶対合格しなくっちゃ!」
「がーんーばーれー、はいっポーズ」
野田のめんどくさそうな声に、ピースで答える私。
応募用紙に写真が必要な欄があったので、野田にとってもらってるわけだ。
「めざせ15万…じゃなくて居候!」
「似た者親子ねー」
パシャリパシャリと、私のデジカメで撮り続ける野田。
「絶対、絶対野田と離れたくないもんっ」
「………とりま、黙れー」
ちょっと恥ずかしいのか、目を背ける野田。
ツンデレだ。
近くのフードコートで写真を撮り続ける高校生二人を、変な目で見つめる多数の人。
まあいいや、と撮られ続ける。
このデジカメ。
後に、すっごく思い出に残るものになるなんて。
特殊能力とかがない私は、想像しなかった。