家族ごっこ
「どした?」
前の席の野田が話しかけてきた。
「ん?なんか非通知から電話が」
「ヨダレ」
「え?」
「ヨダレついてる」
とんとん、と自分の唇を指差す野田。
「えっ」
私の唇を確認すると、液状のもの…否、ヨダレが。
「授業くらいまともにうけろ」
「す、すいやせんっ」
野田様に怒られ、平謝り。
いそいで拭って、黒板でも写すかとノートを広げる。
広げてすらない私に辟易しつつ、ペンを握る。
「……」
また、非通知。
ぶちっと同じ末路を辿らせ、また勇敢にペンを握る。
ちんぷんかんぷんな黒板をとりあえず写しながら、かかってくる電話を切ること6回目。
いい加減イライラしてきたわたくし。