不良くんと鈴の音
『チリン』
明日…明日は絶対行く。
うん、明日。
『チリンチリン』
無視する私を急かしたてるように
鈴の音が二回。
ただ聞こえる鈴の音なら
無視出来たかもしれない
でも、この心に直接響くような…
悲しい音は何だろう。
浜寺くんから聞こえるのか
まだはっきり確信はないけど
この音は…
まるで浜寺君、そのもので…
だからか、
気持ちはまだ整理つかないくらい
不安や悲しみ、疑問でいっぱいなのに
体は鈴の音を追ってしまう。
『チリン』
気付けば
走っていた。
ほとんど、感で理科棟の屋上に向かう
すれ違う先生に走るなと
言われても聞こえないくらい
私は鈴の音だけに集中していた。