不良くんと鈴の音
半ば反射的に
声がする上を向く。
バックヤードの上で座りながら
私が探してた不良くんが
相変わらずの無表情で私を見ていた。
初めて彼の瞳に私がうつった
真っ黒な瞳に。
「誰か探してんの?」
「あ…………いや、…えっと……」
まさか鈴の音を鳴らしていたのが
不良くんだったとは思わなかった。
話したくて、探してたとはいえ
急すぎて上手く喋れない。
「落ちついて。
…………いくらでも待つから」
「……………」
優しい言葉なはずなのに
無表情な君から聞こえた言葉は
冷たく、私の心に降りてきた。
その声を聞いて
落ち着いたと言うよりかは
泣きたくなった。
「あなたを探してたら
鈴の音が聞こえたの。」
涙は出ていない。
でも
不良くんの目も泣いていた。
「俺は鈴を持ってない」
「え」
「無くしたんだ、ずっと前に。」