偽りの愛に溺れる。
第一章 琴菜side
プロローグ
「琴菜、お金、置いとくよ」
隆志(りゅうじ)さんはあたしの机に一万円札を数枚置いた。
「うん…あれ?今日いつもよりお金多くない?」
「それはおまけ。今日良かったから」
「えっ…!」
「じゃ、俺そろそろ帰るね」
「うん、じゃあね」
隆志さんはあたしの部屋のドアを開けて階段を下りていった。
頭の中でさっきの言葉がリピートしている。
『今日良かったから』
隆志さんに、あんなことを言われたのは言われたのは初めてで、嬉しくて顔がにやける。やっぱり隆志さんの事が好き。
たとえ叶わない恋だと分かっていても。