偽りの愛に溺れる。
side琴菜
今日は隆志さんとの映画デートの日。
映画ももちろん楽しみだけど、それよりも隆志さんと一緒に休日を過ごせることがとても嬉しい。
カバンに荷物を入れていると、電話がかかってきた。
画面を見ると、隆志さんだった。
「はい、もしもし」
「琴菜、俺今日行けない。風邪ひいて熱が出た……ごめん」
「えっ! 何度ですか!?」
「38度……」
隆志さんの声はとてもしんどそうだった。
「お見舞い行っていいですか?」
「大丈夫、このくらい平気だから、げほっげほっ」
「全然大丈夫そうに思えませんよ…もう…。
たまには人を頼ってください」
「分かったよ…じゃあ薬よろしく」
「はい」
電話が切れた。
私は急いでドラッグストアへ向かった。