偽りの愛に溺れる。
第三章 琴菜side
両想いの先
気がつくと、朝になっていた。
どうやら寝てしまっていたらしい。
「おはよ」
隆志さんが笑顔で挨拶してきた。
今までより私を見る目が優しくて、それがたまらなく嬉しい。
「おはようございます」
「さっき熱計ってみたけど平熱だった。琴菜のおかげだよ、ありがとな」
「いえいえ。あ、朝ごはんはどうしますか?」
「そこにパンがあるから大丈夫。だから琴菜帰っていいよ」
「分かりました。病み上がりなので仕事行無理しないで下さいね」
「分かってるって」
私は鞄を持って、玄関に向かった。