偽りの愛に溺れる。
その日の夜、夢を見た。
私と隆志さんの繋いだ手が離れていって、やがて見えなくなって行く夢。
嘘をついたばちが当たったのかもしれない。私は気を取り直してベッドから起きてお弁当を作った。夢のことを少しでもはぐらかしたかった。
だけど、お弁当を作っても、私の気持ちは晴れない。
もやもやしながら電車に乗っていると、急に肩をバシッと叩かれた。
「おはよ!」
「奏大! 驚かさないでよ!」
浦部奏大(うらべ かなた)は私と高校と大学が一緒な男友達。明るくて面白い人だ。
「ごめんごめん、そんな声上げるなって。でも、元気そうならよかった」
「そんなに顔に出てた?」
「うん。顔文字の(´・ω・`)みたいな顔してた(笑)」
「えーそんな顔しないよ!」
「本当にしてたから(笑)」