偽りの愛に溺れる。
奏大と喋っていると、電車が大学前の駅に着いて、私はそのまま奏大と一緒に大学へ行った。
「おはよう!」
「おはよう汐音」
「おはよう山中」
汐音が奏大に尋ねる。
「あれ?奏大くん琴菜と来たの?」
「うん。電車たまたま同じでさ」
「そうなんだー……。ちょっと琴菜、来なさい」
汐音が低い声であたしを呼ぶ。
「し、汐音…?」
「いいから」
「あ、じゃあ俺自分のクラスいくね」
奏大が汐音の様子を察して、立ち去った。
「琴菜。奏大くんに彼氏がいること言ってないでしょ」
「うん」
「あんたは鈍いからやっぱり気づいてないか…。とにかく、彼氏がいることは言っときなよ」
「わ、分かった…」