◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
父の足下。
コンクリートの床に、銀色の鍵が落ちている。
「おおっと、いかん……」
父が荷物を抱えたまま少しかがむ。
そして、カギへ右手を伸ばした次の瞬間。
『ぐきっ!』
嫌な音が父の身体から、
恐らくは腰の辺りから上がったのを、私は確かに聞いた。
一瞬の空白。
次の瞬間「ううっ!」と言う父の呻き声と、その手から放り出された荷物が床に激突する音が、綺麗に重なった。
「お、お父さん!?」