◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
救急車は、五分ほどで到着した。
玄関に横付けされた救急車の後部に、慌ただしく、タンカに乗せられた父が運び込まれる。
続いて、それに付きそう為に母が乗り込んだ。
「美鈴! 会社の石崎さんって言う人が、手伝いに来てくれる事になっているから、後のこと頼めるわね?」
幾分落ち着きを取り戻した母にそう言われ、私は小さくコクンと頷いた。
初対面の人と二人っきりは気が重い。
でも、今は非常時だ。
一人娘としては、『両親の留守を守らなくては』
そう、思ったのだ。