◆ナイトメア~引っ越し~【ホラー短編】
「学年も同じだし、二クラスしか無いから、もしかしたら同じクラスになるかもね。明日は一緒に学校に行くといいよ。朝迎えに寄らせるから」
石崎兄弟は、このアパートの上の階の405号室に、母親と三人で住んでいるのだと言う。
「あ、はい。方向音痴なんで助かります」
「美鈴ちゃん、方向音痴なんだ?」
「はい、かなり。地図通りに曲がっているはずなのに、気がつくと同じ所をぐるぐる回っていたりとか、よくあるんです」
思わず笑顔がヒクヒクと引きつる。
「それは、筋金入りだね」
「本当、自分でもそう思います」
賑やかな笑い声と和やかな空気が、部屋の中に流れた。
――お父さんのケガで始まった引っ越し第一日目だったけど、そんなに悪い日でもなかったかな。
心の中で、そう思った時だった。
パシン!
天井で大きな音がした。